2014年9月5日金曜日

そもそもなぜ「カジノ構想」が浮上してきたのか?



安全保障法制の整備が来年に持ち越され、目玉となるような大きな法案審議が少ない今年の臨時国会。一部ではカジノ合法化と統合型リゾート(IR)導入を目指す法案の是非が焦点になる“IR国会”となるのでは? などという人もいるようです。

浮かんでは消えてきた「カジノ構想」
 我が国におけるカジノ合法化論議は、石原慎太郎・東京都知事(当時)が一期目の公約として掲げた「台場カジノ構想」から数え、約15年にわたって我が国で語られてきた伝統的な政策論です。 財政の逼迫(ひっぱく)する自治体にとって、カジノ合法化は民間企業による観光投資を誘引する「呼び水」となります。

 それ故、カジノ合法化論は主に地方自治体側から国に対して提案が行われてきたわけですが、それらは実際に法案審議まで至ることはありませんでした。中央省庁においては、政権が変わるごとに政策論として「浮かんでは消え」を繰り返すことから、いつしかカジノ構想は「永田町の蜃気楼」などと呼ばれるようになりました。

東京五輪の誘致成功で状況一変
 しかし、昨年9月に決定した東京オリンピック誘致の成功によって、その状況が一変することとなります。2020年に開催が決定した東京オリンピックは、安倍総理自身が「アベノミスク第四の矢」とも位置づける我が国の経済振興策の柱のひとつです。

 我が国では2020年までの約6年間にわたって、民間投資、公共投資を合わせて沢山の観光施設開発が行われます。森記念財団都市戦略研究所は、これらオリンピックに関連して生まれる観光投資は、2020年までの累積で約3兆5000億円に達すると推計しています。これから2020年までの我が国の経済は、良くも悪くもこれらオリンピックによって牽引されてゆくこととなるでしょう。一方、懸念されるのがオリンピック後の経済振興です。オリンピックというスポーツイベントは、世界に類をみない強力な観光資源です。しかし、その効果はパラリンピックまで含めても2か月程度のもの、地域の観光需要を一時的に増強する「カンフル剤」としての役割にしかなりません。

 一方、大会期間中1000万人にも及ぶと言われる観光客数の「瞬間最大風速」に合わせて、様々な観光施設開発が行われます。当然ながら、それら投資がオリンピック開催期間中のほんの短期間で回収されるわけもなく、イベント終了後にはそれらが過剰な観光施設として地域経済にのしかかります。すべてのオリンピック開催都市が直面するオリンピック後の経済停滞。これを、いかに乗り切ってゆくかを考えるところまでが、真の意味での「オリンピック誘致施策」であるといえます。

五輪後の永続的な経済効果に期待
 そこで急にスポットライトが当てられたのが、これまで15年にわたって浮き沈みを繰り返してきた我が国のカジノ合法化と、統合型リゾートの導入施策です。前回の記事でも紹介したとおり、我が国の統合型リゾートの導入には大きな経済効果が見込まれており、今年の4月、外資金融大手UBSはその投資家レポートの中で、国内に3軒の統合型リゾートが誕生したシナリオの元で全国総計で約9,500億円、東京に施設開発がなされた場合には約5,000億円の市場が形成されるとの推計値を発表しています。しかも、この需要はオリンピック誘致と異なり、毎年永続するものです。

 統合型リゾートの導入で創出される観光需要は2020年以降に発生する観光産業の需給ギャップを埋め、オリンピック・レガシー(遺産)とも呼ばれる各種観光施設の利用を促進します。すなわち、短期間で「カンフル剤」的に機能するオリンピック誘致という施策を補助し、観光産業を継続的に我が国の経済成長の柱とするための重要な施策として、我が国のカジノ合法化と統合型リゾート導入の検討がなされているものであるといえます。我が国おけるカジノ合法化と統合型リゾートの検討は、「いまだからこそ」検討が必要な施策として考えられているのです。

【2014年9月5日(金)14時0分配信 THE PAGEから抜粋】

2014年9月1日月曜日

「カジノ構想」これまでに浮上した候補地は 経済効果はどれくらい?


この秋に始まる臨時国会において、我が国のカジノ合法化と統合型リゾート(通称:IR)の導入を実現する「IR推進法案」の成立が期待されています。安倍政権の掲げる成長戦略の一つと目される統合型リゾートには、各自治体からの期待も高く、その誘致に向けた激しい競争が水面下ですでに巻き起こっている状況です。

 現在、都道府県が主体となって統合型リゾートの設置検討に取り組んでいる事例は全国で北海道、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、和歌山県、長崎県、沖縄県の8件が存在してます。これら都道府県は、統合型リゾート設置の前提となる基礎調査の実施や、検討委員会の設置などを行なっており、これらが現時点において最も統合型リゾートが開発される可能性が高い地域といえでしょう。一方、未だ都道府県レベルのコミットメントはないものの、市町村、もしくは商工会議所などの地域商業界が主体となって誘致検討を行なっている地域も存在しており、秋田県、宮城県、石川県、静岡県、徳島県、福岡県、宮崎県などが挙げられます。

経済効果は試算によってバラつき
 当然ながら、各自治体が期待しているのは、統合型リゾート導入によって生み出される経済効果です。しかし、予想される経済効果の規模に関しては推計を行なう主体によってかなり幅が大きくバラつきがあるのが実情です。

 例えば、近年発表された中で最も大きな経済効果推計値を出しているのが、本年7月に広告代理店大手・博報堂が行なった調査です。博報堂は、独自に行なったアンケート調査を元に我が国の統合型リゾート導入によって、全国合計で最大13.5兆円の潜在的な市場が出現し、東京に統合型リゾートが建設された場合には最大2.9兆円の市場が形成される可能性があると発表しました。一方、今年の4月、外資金融大手UBSはその投資家レポートの中で、国内に3軒の統合型リゾートが誕生したシナリオの元で全国総計で約9,500億円、東京に施設開発がなされた場合には約5,000億円の市場が形成されるとの推計値を発表しています。

 このように、推計値が大きく分かれてしまうのは、推計を行なう前提条件やそのポリシーが各調査によって異なるためです。前者の博報堂は、アンケート調査の中から目一杯の「最大の数字」を出そうとしたもの。一方、後者のUBSによる推計は事業ベースで現実的な数字を出そうとしたものといえます。前者は潜在市場としての最大値、後者はそこから実際に生まれてくる事業ベースでの市場規模として捉えるべきでしょう。

訪日外国人の誘客なるか
 また、特に政府が今回のカジノ合法化に期待しているのが、国際観光振興に対する効果です。現在、安倍政権は2020年の東京オリンピック開催と統合型リゾートの同時開業を目指し、内閣官房内に関係省庁からの出向者による特命チームを緊急召集しています。安倍政権は、現在約1000万人である訪日外国人客数を、2020年までに2000万人、2030年までに3000万人にするという非常に野心的な目標を掲げています。カジノ合法化と統合型リゾートの導入は、そのような達成目標を実現するための一施策であるといえるでしょう

【2014年9月1日(月)14時0分配信 THE PAGEから抜粋】